<手倉森コーチ>
今年、見事S級ライセンスを取得された手倉森コーチに、コーチの目から見た今季の総括とS級ライセンスについて、そしてコーチ修行に行かれるバルセロナに向けての意気込みなどお話を聞きました。
―手倉森さんが振り返るこの一年とは?
「期待していた一年でしたね。まず自分がS級を取得するということと、大型補強してジョエルサンタナを招聘した時にスタートを考えた時にはJ1昇格とS級ライセンス取得というのを目標にやってきたんで、今回S級取得の為に、8月以降チームを離れることになって、ちょうどその頃からチームの調子が落ち始めたのが心残りなんですけど、S級は合格しましたけれど、J1昇格を果たせなかった部分では、やっぱり悔しい一年になったと思います。」
「第三クールに入る頃から、僕もチームを離れる状況になったので、僕が第一クール、第二クールと他のチームにスカウティングに回っていましたけれど、他のチームの第三クール、第四クールの戦い方というのが、充実してきたチームが上位に出てきたという実感はありますね。うちはかなり分析されてマークされたのかなという気がします。」
「ジョエルもベガルタシンドロームみたいなことをコメントしてましたけど、本当勝負どころで、勝ちゲームを引き分けにしてしまったりだとか、引き分けが負けになったりというところの勝ち点3を呼び込めない、何が原因なのかというところがあると思いますけど、勝負どころでまとまりが足りなかったのか、運がなかったのか、かなり悔しいところですけどね。」
「チームというのは勝ち方と負け方があると思うんですよ。第一クールの勝ち方というのはかなりインパクトを与えたと思うんですよ。そうなった時に相手は十分警戒してくる、あとは敵は多分うちにあったんですよね。うまいこと進んでいれば人間というのは鼻が高くなってきてしまうものですから、それでも気を引き締めてやろうとしてた時には、競ったゲームも勝ったりするし、負け方も自信を全て失うような負け方をしたら、次はなくなりますけど、何かチームに残るものがあれば、そこを改善して次のゲームは絶対連敗しないとか、繋がっていたと思います。第四クールの10月下旬の3引き分けが自分達のチームの形がどうだったんだろうか、というところに迷いが出たような成績になってしまいましたね。やり方に関しては確信を持って監督はやっていたはずですけど、結果として、そこのポイントが取れなかったんだろうなと思います。」
「そしてやっぱり点を取らないと。点を取れた試合というのは、かなりの大量得点で勝ったゲームが第一クール、第二クールとありましたから。それが取れなくなるというのは例えば相手はマークしてくるし、自分たちがいつか取れるだろうと思ってゲームをしてしまうと取れなかったり。タフさが明暗を分けたのかなという気がしますよね。例えば横浜FCの戦い方というのは爆発的な得点力はない、だけどしっかり守っていれば必ず一点は取れるというゲームをずっとしてきてて、それが第四クールでも変わることなく結果に結びつけたというところで、横浜は多分J1を勝ち取ったんだと思います。うちは大量得点はあったけど、点も取れない時もあったという波のあったシーズンだったのかなという分析は僕個人でしていますね。」
―この度、見事S級を取得されたわけですが
「S級行ってかなり勉強させられて、帰ってきた時にゲームを見るところも少しずつ自分の中でも変わって来たし、トレーニングでもやっぱり選手個人の見方とか、コンビネーションのグループのとこ、チームのとこ、と見たら見方が自分でも随分変わったなと。普通はボールがあるところにお客さんは目が行くと思いますけど、ボールのないところ、オフ・ザ・ボールのところでの局面を修正することで、そのゲームがもっと質が高いものになるということを勉強してきて、そういうところを見るとサッカーは奥が深いものだなと感じたし、そこに気づいているチームは勝てるチームだなと感じましたね。ボールを持っている人だけがサッカーやってるんじゃなくて、ボールのない人間がどう絡むのかという質を上げていけば、そこの動き、ボールを扱わないところでの質をあげていけば、強いチームと対戦する時でも勝てる要素がある自信はありますよね。」
―ズバリ、手倉森さんが目指すサッカーとは?
「代表でオシムさんも言ってますけど、人とボールが動くというというのは、サッカーでいう主流のところだし、見てて本当にボールと人が動いているんだなというサッカーがしたいのと、あとはゴールの醍醐味ですね。ゴールシーンを多くしていきたいのと、ゴール前に果敢に攻めて行く様なアグレッシブなサッカーをしていきたいです。攻撃と守備は切り離して考えられないんで、守備においても攻撃的に守備をするという、守備は攻撃するために守るというところを出来る監督になりたいですね。」
「ダイナミックだとかスピーディーだとか諦めないで走っているとか、その中にプロとして魅せられる戦術とかスキルとかの精度を上げた完璧なサッカーを目指したいですね(笑)ここに居る選手に高いものを求めて行きたいし、流動的なサッカー、タフなサッカーを目指してやっていきたいです。」
―バルセロナではどのようなことを吸収してきたいですか?
(12月6日~12月22日までバルセロナで修行中)
「バルセロナというチームは、スペクタクルさがあるんで、それはどういうトレーニングでやれてるのかな?というところを見たいし、(バルセロナの)ライカールト監督というのは実際に自分がトレーニングするんじゃなくて、コーチ陣に任せているような監督なんですけど、そういうところで、チームマネジメントがやれてるんだったら、例えば日本だったら監督が先頭に立ってやらなきゃいけないのはサッカー界ではありますよね。プロ野球では監督がどっしりとしている事が多いんですけど。チームがまとまっていくにはどういうやり方が良いのかと、チームマネジメントの仕方も勉強したいし、もちろんスペクタクルなサッカーをするための、トレーニングはどういう形で進んでいるのかというのも見たいし、あとは組み合わせ。どういった選手を組み合わせればああいうサッカーが出来るのかなというところも見たいですね。ロナウジーニョだったりデコだったりテクニシャンが多いチームで、なかなか日本代表でも黄金のカルテットと言って4人揃ったことはなかったですけど、結局バルサはゲームメーカーが4人揃っているようなチームだから、そのへんをどういう見方で組み合わせているのかなというのもトレーニングの中で見れると思うし、その辺を勉強してきたいですね。」
「トヨタカップにバルセロナが来日中の時は僕らはエスパニョールというチームを見てます。エスパニョールの方はどちらかと言うと育成型というか、監督が自ら動いて選手を育てているチーム。バルセロナのライカールト監督とはちょっと対照的な監督ですね。」
「バルセロナは現在、怪我人も多いんで、僕の仕事ではないんですけど、リハビリメニューも見れたらすごい勉強になると思うんで。僕は、2002年にアーセナルに勉強に行ったんですけど、リハビリのトレーニングは一番感動しましたね。施設と、そのトレーナビリティはすごかったです。監督だったらチームマネジメントしなきゃいけないじゃないですか?試合に勝つことがメインではありますけれど、勝つためにいろんなトレーニングをコーチングすることだったり、スケジュールを組み立てることだったり、その中にアクシデントがいろいろあると。そうなった時に良い循環で居れば、多分怪我人が出たとしても早い復帰があったりとか、チームが負けたとしてもすぐまた立ち直れると思うんで、その辺のとこまで見てみたいなというのがありますね。それがチームワークだったり、グループワーク、監督とコーチのリレーションだったり、コーチとトレーナーとのリレーションだったり、勉強しなきゃいけないし、そこをやれているチームというのは良い循環になってくると思いますよ。」
現在、バルセロナで修行中の手倉森コーチ。今週22日に帰国するようです。